やりたいことの見つけ方~リカレントで何を学ぶべきか

ワークスタイルデザイン

本当に自分のやりたいことは何か?を見つけるのは、意外に難しいものです。

対象物を観察して、因果関係を見つけるというのが、近代科学の手法というか、考え方で、対象物(自然現象とか、動植物とか、人間とか)と観察者が切り離されていて、客観的に考えるということですね。

でも、自分自身のことを観察するとなると、対象物と観察者が一緒になってしまいます。

こうなると、なかなか客観的に見るというわけにはいかないので、自分の観察、考えが「正しい」のかどうか、わからないという人も多いでしょう。

だから、「ストレングスファインダー」のようなテストがあり、科学的に、自分の価値観、強み分析をしてくれるのだと思うかもしれませんが、これも、なんとなく、テストの結果だからそうなんだろうと、自分で自分を納得させている面が大きいように思います。

自分の強みを3つ書いて、自己紹介してみる

先日、NHKの特番「ウィズコロナの新仕事術」では、個人と会社の関係を見直し、リカレント教育、学び直しをして、70歳になっても社会との結びつきが持てるような人生をおくるようなしくみが大切だという話の中で、自分を先ず知ることから始める方法として、自己PR法というのが紹介されました。

紹介したのは、ビザスクの社長で、デモンストレーションは、司会のNHKアナウンサー(50歳代半ば)が行いましたが、「アナウンサーとして、他のアナウンサーと何が違うか(自分の強みが何かということ)を3点入れて、3分間で自己紹介するというものでした。

面白かったのは、アナウンサーは、自分の強みを、

・緊急報道の経験

・地方勤務で得た、地方からの視点

・共感力

という3つを語りました。

そして、話を聞いた共演の識者のメンバー3人は、それぞれのパネルに、自分が理解した3点を書き出したのです。

結果は、おのおの、3つのうち2つくらいはアナウンサー氏に近い答え。でも、1つか2つはアナウンサーの伝えたかったニュアンスというか、内容と微妙に違っていました。

ひとりは、All round player、聞き上手、もうひとりは、沖縄を知るアナウンサー、地方都市のプロ、そしてほかの人は、価値観が広い、他者思い、安心感という、異なるキーワードを上げていました。そして、3人のうち二人には、「報道(のプロ)」という要素もありませんでした。(サントリー社用の新浪さんは、さすがに、報道、地方、沖縄というキーワードがあり、さすがだと思いましたが、共感というワードがなかったのが興味深いです)

他人の目で自分を見るという方法

アナウンサーご本人は、自分が考えた上で、原稿にして自己紹介をしたのに、うまく伝わっていないということに若干、戸惑いを感じているようでしたが、みなさんは、このことをどう思われますか?

もちろん、いくら準備してがんばっても、他人にその内容を100パーセント正しく伝えるのは困難だという教訓もあるでしょう。特に、アナウンサー氏にとっては、カメラを通して、不特定多数にニュースという情報を伝えてきたが、それができていなかったかもしれないということで、大きなショックだったかもしれませんね。

もちろん、他人は、人の話をそんなに一生懸命は聞いていない、あるいは、自分の頭にあるアイデアと勝手に結び付けて解釈している、自分の聞きたいこと、耳障りのよいことだけをフィルターをかけて聞いているなど、いろいろな解釈もあるでしょう。

ただ、ここでこの自己紹介ワークが、面白いと私が思うのは、他者は、他人として、対象物であるモノ(この場合は、アナウンサー氏という人)を、客観的に見ることができる立場だということです。

つまり、冒頭でお話したように、自分を自分で観察、分析、評価するというのは、難しい。なぜなら、対象物と観察者が同じだから。でも、ここでは、3人の識者が、対象物であるアナウンサー氏を客観的に見て、話を聞いた(観察)上で、分析、解釈したと言えます。

自分の強いと思っているものが、人にはそう思われていない、他人が、自分の気づかない強み(価値観)を拾ってくれるということで、大きな気づきのワークですね。

種明かしですが、このワークを提案したビザスクの社長は、「強み(=キーワード)の掛け算で、オンリーワンを見つける」ということだそうです。ひとつひとつの強みが強力とは言えなくても(たとえば、アナウンサーはたくさんいる)、沖縄問題には誰にも負けないという強いが掛け合わせれば、それだけでもかなり使えそうです。

そういうやり方も大切ですが、やはり他人の目も大切だと痛感したのは、このアナウンサー氏は、50歳代半ばで、報道のプロ、特に緊急報道という臨機応変に対応できる高いスキルがある切れ者と自負しているのに、共演した人は、話をよく聞いてくれる人当たりの良い「いい人」にみえたことで、自分の本質がわかっていない可能性があるということです。

俺は、緊急報道のプロだと思っていても、本当は、人の心の琴線に触れうような、どちらかと言えば、もう少し柔らかいバラエティー番組、あるいは、宗教の話の相手とか、そういうところに本当は、活躍の場があるかもしれないということです。

知ること、やってみること、実践すること

せっかくですから、少し時間を決めて、自分の強みを3つ書いてみましょう。

そんなに時間をかけないで、5分かそこらでいいでしょう。

できれば、3分間スピーチをそのメモを見ながら、やってみましょう。

友達とか、知り合い、一緒にコニュニティーに参加しているメンバー、誰でもいいので、一緒にやるのが一番いいですね。

自分の売り込みの機会、よく、会社のエレベーターで、社長と一緒になり、「君は何をしてるんだね?」という質問に対して、30秒くらいで話す「エレベーター・トーク」というワークがありますが、自分の強みを短い時間で話ように準備しておくのは、これからのキャリアを考える上でも役に立ちますね。

多くの人が学ぶべきことは、もう先人が何度も、同じことを言っています。

今回のワークも自分を知る、自分のやりたいことを見つけるために役にたつワークだと思います。

でも、知ったままで何もしない人が大半。

やっても、その結果を受けて、行動する(たとえば、自分の気付かなかった他人からみた強みについてもう一度考えてみる)人は、もっと少ないでしょう。

どんなことがらでも、成果に結び付ける人は、知ったことで良さそうとおもったら、やってみて、それを活かすことを地味にやっていると断言できます。これら、ひとつひとつは大したことはありませんが、これも「掛け算」的に成果の大きさにつながるのです。

お試しあれ。