リモートワークにすれば、本当に、労働時間が減り、自由時間が増えるのか?と思われている方も多いでしょう。実際、日本政府のアンケート調査でも、オフィス勤務とリモートワークにおける労働時間は、あまり変わらないという回答が6割弱になり、減った人の割合は3割以上、増えた人は1割くらいというのが実情です。
オフィスでは無駄な仕事が意外に多い
リモートワーク(在宅勤務)で、労働時間を減らすのは簡単です。
なぜなら、多くの人は、オフィスでは、無駄な作業で時間をつぶしていることがあまりに多いからです。予定していた約束が、突然キャンセルになったり、延期されたり、また、上司が出張でいなくなったりと、職場でぽっかり余裕ができる時もあります。
また、「今日は(やることがなくて)暇だな」「今週は予定があまりないなあ」ということも正直あるでしょう。
そういう時、みなさんはどうしていますか?
もちろん、フレックスタイム制が導入されていれば、そういう時は、午後3時でも、「今日は帰ります」と言って、早く帰宅し、忙しい時に残業した際に、その時間を使うというのが、制度の期待値でしょうが、そうはなっていないでしょう。
というわけで、トータルで言えば、勤務時間だから、やることがなくても、何かしている状態が実態としてありますし、また、勤務時間内に仕事を仕上げるというマインドですから、成果物を少しでもより良くするために余計な時間を使っていることも多いのです。(少しでも良くするは、実際には、完璧を目指すになってるのですが、そのことの気づいている人は少ないでしょう)。
リモートワークなら、無駄作業はやらなくても済みます
このように、オフィスで働くというのは、9-5時の時間帯を職場に縛り付けるという労務管理の考え方が長くあり、今も続いています。
ですから、オフィスに通勤している時は、在席しているか(どこかにお茶飲みにいっていないか)、外出・出張ならお客さんの訪問を本当にしているかを、常時確認しています(行先表示板など)。席にいないときに、なにか用事があれば、連絡をとって居所まで追いかけられますよね。
といことで、リモートワークになり、監視の目がなくなれば、仕事をきちんとやって終われば、その日の仕事はおしまいです。
その後は、自由時間になります。
だから、労働時間は短くなり、自由時間は必然的に多くなりますね。
所定労働時間が、1日8時間なら、仕事が終わっても何か、別の仕事をやらないといけないのでは?というのは、生産性、成果物の品質を無視した考えだと思います。
それに、職場で余った時間を、仕事をするふりをして、メールにゆっくり時間をかけて返信を書いたり、社内の回覧物を時間をかけて読んだりすることに、価値があるでしょうか?
それよりも、時間が余っているからと言って、めったやたらに「なんとか会議」を連発されるほうが、本当に迷惑ですし、生産性もあがらないし、それどころか、モチベーションも下がります。
「できるだけ早く仕事を終わらせよう」というマインドが生産性向上を生む原動力
職場での仕事は、与えらた時間は平等であり、能力差はあまりないという建前で、運営されていますから、仕事が急に増えたり、割り込みで入ってくれば、当然、残業になったり、休日出勤になったり、あるいは、チームメンバーが助太刀(すけだち)として労働力を融通しています。
火事場の馬鹿力みたいなこともあるのかもしれませんが、懸命に、あまり休まずにやるというやり方で、特段のブレークスルーもなく、力仕事になることでしょう。
つまり、日頃、仕事を効率的に進めるというインセンティブがあまりないために、早く終わらせるということを重視していなわけです。
リモートワークになれば、仕事が早くおわれば、あとは自由ですから、インセンティブが働きます。
段取りが悪くて、手戻りが発生したら、それだけ、余分な時間がかかりますし、場合によっては、残業、休日勤務も無制限のような環境でもありますから、それこそ大変なことになります。
一つ一つの仕事をどうやって、最短で、最小限の労力で、期待されるクオリティにして、成果を上げるか
そういうマインドセットに自然になっていくことでしょう。
こうして、働く人、ひとりひとりのマインドが変わることで、本人には、労働時間を減らし、自由時間が増えるという恩恵がうまれ、同時に、会社にとっては生産性向上という果実が手にはいるのです。WIn-WInですね。
生産性の向上は、仕事の効率化ではないけれども、、、
もちろん、今、日本で低い、低いと問題になっている労働生産性が低いということと、ひとりひとりの仕事が早く終わるという仕事の効率向上とは、別の話ではあります。
つまり、労働生産性は、端的に言えば、一人あたりのGDPが増えることであり、会社にとっては、売上が増えることですから、仕事の効率化と直接のつながりがないからです。
しかしながら、たとえば、営業職の方の仕事の効率化ができれば、顧客訪問回数とか、時間が増やせるので、売上増には貢献できるでしょう。
そして、システム開発、設計を売っている会社にとっては、市場のニーズが高いので、効率が上がればあがるほど、売上が伸びることもあると思います。
さらに、重要なのは、企業が生産性を上げるには、設備投資と人材への投資しか方法はありませんが、その人材投資の成果として期待されていることを考える必要があります。
人材投資で期待されるのは、技術、技量の向上が多いとは思いますが、最も企業の生産性向上に寄与するのは、イノベーションです。
つまり、仕事の効率を上げることを通じて、創造性を発揮して、企業の売り上げ増(あるいは利益増)に結び付くようなアイデアを生み出していくことが今後重要になります。
職場で、忙しい時もあるが、ヒマな時には時間つぶしをして時間を使うような時間の使い方では、創造的な仕事はできません。
自分にとって、会社にとって、本当に価値を生み出す仕事を、一日一日、集中してやるというマインド文化に変えていくことで、創造的な働き方が定着していくことでしょう。