リモートワーク、どうやって上司を説得するか

テレワーク

「リモートワークをやれば、通勤時間を減らせる」

「無駄な雑用がなくなるので、働く時間も減る」

「家のことや、外出の用事ができるから助かる」

リモートワークになって、大きなメリットを感じている人は多いようです。

管理職は、リモートワークがお嫌い?

一方、マネジャーなどの管理職は、

「メンバーの仕事の進捗がつかみにくい」

「今までのように、簡単に仕事を頼みにくい(「ちょっと君」みたいに)」

あるいは、

「メンバーの健康状態の確認ができない」

「顧客や社内の関係部署との関係がうまくいっているかどうかがつかみにくい」

「チームワークで、助け合うという雰囲気をつくりにくい」

などなど、リモートワークだと、なにかと不便を感じているケースが多いようです。

これは、フレックスタイム制度が導入された当初も、よく言われたことで、朝、勤務開始時間で、出勤を確認し、あいさつで健康状態をチェックするというのが、どこでも最重要でしたからね。

今では信じられないかもしれませんが、毎朝、遅刻せずに職場に到着するというのが、社会人の基本中の基本。約束時間を必ず守るというのが、学生と社会人の決定的な違いという認識でした。つまり、業績評価というより、勤務評価(遅刻、欠勤、早退など)のウェートが全然高かった。

リモートワークは、時間差が生じるだけでなく、さらに、働く本人が職場にいないという分だけ、フレックスタイム制度より、さらに、勤務評価(「労働管理」)がしにくいわけです。

だんだん、変わってきてはいるとは思いますが、仕事をする上で、勤務評価>業績評価という時代が長くあり、また、今でも、業績によって昇進という場合には、勤務評価がベースにあるというのは、まだ、昭和の古い世代が会社に残っているからでしょうか。

さらに、マネジャーは、メンバーとお昼を一緒に食べて家庭状況を聞き、夜は、残業終わりに一杯飲んで、コミュニケーションをとる、という昭和的なマネジメントのスタイルがやりにくくなるので、不満もあり、不安もあるのでしょう。

上司をどうやって説得するか

では、どうやって、そんな上司を説得するのか?

その前に、今、リモートワークには、推進のための強力なフォローの風が吹いていることを忘れないでくださいね。

1990年代の終わりにも、リモートワークを導入するブームがありました。今と比べものにならないくらい、インフラが整っていませんでしたので、自宅で働くというより、サテライトオフィスを企業側で準備して、そこに通うというイメージでした。

それでも、リモートワークを絶対に導入しなければならないという企業側のニーズもあまりなく、問題点、デメリットばかりが取りざたされて、結局、制度として浸透しませんでした。

それからみれば、今は、コロナ禍における政府の要請もあり、また、1年半近く、実施してきたという実績もあります。社会全体として、リモートワークをやめて、コロナ禍前に完全に戻す圧力より、継続する、ハイブリッド(リモートワークと職場通勤)にする動きのほうが強いでしょう。

環境は圧倒的にあなたに有利です。

さて、上司の説得の話に戻りましょう。

まず第一に、上司の説得に限りませんが、人との「交渉」をおそれないことです。

クリエイティブ・ディレクターの三浦崇宏さんが、著書「言語力化」で述べています。

仕事というものがあらゆる状況で、板挟みになる。(中略)あらゆる仕事が「板挟み」であり「交渉」でできていると言える。板挟みはデフォルト、つまり前提なのだ。板挟み状態から着地点をどうやって見つけていくか。そこが問題なのだ。

三浦崇宏『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』

いかがでしょうか?なるほどと僕は思いました。営業職の方なら、お客さんの要求に対して、納期、品質などで、社内での調整に苦労していることでしょう。そういう状況も、「板挟み」状況であり、社内だけでなく、お客さんとの間で、さまざまな「交渉」をしていますね。

だから、仕事の場では、いつでも、「板挟み」状態が当たり前、なんでも「交渉」して着地点を見つけるのが当たり前だと、肚をくくることが大切だと思います。

その上で、第二に、自分の要望、欲求を明確にする。

リモートワークで働くことが、自分にとって価値があり、職場の束縛から解放され、自由を得るためにどうしても必要がという強い気持ちをもってください。どうしてもリモートワークという権利を勝ち取るんだという「熱意」がなければ、相手を動かせません。

そして、第三として、相手のメリットを考える。

自分の事情、理由だけで、相手を説得するのは、難しい。相手にとってのメリットは何かを考えましょう。

『週4時間だけ働く』の著者、ティモシー・フェリスは、ボスとの交渉について、2つのことをしようと言っています。

  • リモートワーク(在宅勤務)がビジネス上メリットを生むことを示す
  • リモートワークをしたいという要求を阻むことの代償は、あまりにも高くつき、ひどい痛手を伴うことを分からせる

管理職にとっては、ビジネスメリットは、会社にとっても、チームにとっても、重要なWinなので、もし、今、週に2回でも、3回でもリモートワークが認められているならば、在宅で仕事をする日には、職場での仕事しているより、2倍くらいの仕事量をしているように見せなければなりません(たとえば、顧客の対応する時間が、3時間増えた等)。

リモートワークで生産性が上がるという実績をみせながら、紙にちゃんと書いて、上司に出して話をするということが説得の第一歩です。

なお、家で働く時には、できるだけ生産的に働き、会社に出勤している時には、効率を少しだけ落として働くことで、リモートワークでの生産性の高さを管理職は、認識するに違いないでしょう。

リモートワーク実現のために、他にできることはないだろうか?

あと、保険として、自分に投資をしてもらうという方法もあります。

あなたが必要だと思う、研修(できれば長期のもの、高額なものがいい)に会社の経費で行かせてもらうことだ。もちろん、会社にとって、あなたがその研修に参加して、仕事に生かすことに大きなビジネスメリットがあることを説明して、納得してもらう。

投資をした社員が辞めること、辞めさせることは、会社にとって、損失だということになるので、あなたの言い分を聞こうというインセンティブになります。これは、上司との交渉にも、有利に働くし、自分のスキルアップにもつながり、あなたのジョブセキュリティも高まるので、是非お勧めしたい。自分の価値を日頃から高めておくことですね。

最後に、先ほどの三浦さんの本の中で、「『論理』よりも『握手できる』ことのほうが大切」という記述があったが、まさに、上司を説得する際にも当てはまります。

若い人の間に、「論破を得意にする」インフルエンサーが人気のようだが、論破しても、相手が動くとは限らない。対立する利害(リモートワークをしたい VS 職場で管理したい)が、あなたと上司にあるのだから、ふたりが握手するには、Win-Winな解決策を見出すのが王道です。

頑張りましょう!