八木仁平さんの著書『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』は、2020年発売のベストセラーですが、今も本屋さんで平積みになっているロングセラーでもあります。それほど、今の時代は、自分が本当やりたいことをやっていないと感じる人が多く、また、反面、やりたいことがわからないという難しい時代なのでしょう。今日は、「やりたいことの見つけ方」について考えてみましょう。
3つのこと
著者の八木さんによれば、「やりたいこと」は、結局、「得意なこと」かつ「好きなこと」ということになります。得意なことはその人の「才能」で、自分では努力していなくても、スイスイできてしまうようなスキルというか能力のことで、「好きなこと」は、もとより、自分が好きで、時間を忘れて打ち込めるもの、「情熱」をかたむけられるという対象をいいます。
そのふたつが重なる領域で仕事をすることが、「やりたいこと」です。はい、終わり。
とならないところが、難しい。
著者は、「やりたいこと」のさらに一段上である、「本当にやりたいこと」を見つけるべきで、そのためには、「大事なこと」を最優先に考える必要があると言っています。
というのは、「好きなこと」という対象が、移ろいやすいというか、変わりやすいものであり、持続性がない反面、「得意なこと」は、仕事にすぐに結びついて、かつ、成果も出やすいので、それを最優先でも失敗はしないと言っています。
著者の「やりたいことを見つける」自己理解プロセスを整理すると、こういう順番になります。
ステップ1 大事なことを見つける
ステップ2 得意なことを見つける
ステップ3 好きなことを見つける
「大事なこと」から始める理由
「大事なこと」は、価値観、行動指針に関することを考えたらよいでしょう。
価値観が重要なのは、モチベーションが持続するということに尽きるかもしれません。
自分軸がブレなければ、ひとつの分野で長く研鑽を積むことができ、成果も上がって成功する確率が上がるということなのでしょうか。
そして、長いキャリア、人生において、自分が一体全体、何者なのか?Who am I ? ということを知るには、自分が大事に考えていること=価値観=を紐解くのが一番手っ取り早いやり方ですね。
じゃあ、はい、あなたの価値観は何でしょう?
これもまた、難しいことですね。
なぜなら、普段、多くの人は、自分の価値観がなんで、何を大事にしているかなんて、意識していないからです。
そうです、あなたは、自分の価値観、行動規範なんて、いつも意識していません。だって、それは無意識レベルにあるんですから。そうでなければ、物事に対して、瞬間瞬間に判断なんてできません。言語化されずに、無意識下にあるのが、価値観なんです。
ですから、ここでは、あらためて、自分の無意識レベルにあるものを引き上げて、言語化しなければならないのです。結構、しんどいことです。
では、どうやって「大事なこと」を見つけるか?
では、どうやって「大事なこと」を見つけたらいいでしょうか?
著者は、5つの質問に回答することで、それが見つかるといいます。
- 尊敬する人、友人は誰ですか?どんなところを尊敬していますか?
- 今の自分一番大きな影響を与えている出来事、経験は何ですか?それは自分の価値観にどんな影響を与えましたか?
- 今の社会には何が足りていないと思いますか?
- 「自分って人生で何を大事にしてそうかな?」と周りの人に聞く(できれば、その根拠となるエピソードも)
- 自分のこどもに対して、あるいは、他人に助言をするとして、一番伝えたい行動はなんですか?また、一番伝えたくない行動はなんですか?
こうして得られた、価値観に関するキーワードをリストアップして、眺めてみると、自分の大切にしていること、行動規範のようなものが、見えてくると著書は述べています。
どうでしょうか?
あまり時間はかかりませんから、時間をとって考えてみるのは、大変意義のあることだと思います。
先ずは、5人を探してみよう
さて、私は、別の質問で、みなさんに、価値観を考えてもらいましょう。
米国の起業家であり、コーチでもあるジム・ローンの有名な言葉です。
You are the average of the five People you spend the most time with.あなたは、最も一緒に過ごす時間の長い5人の友達の平均になる
Jim Rohn
さて、ジム・ローンの言葉は、ハーバード大学の研究でも裏付けられており、私たちの成功も失敗も、すべて周りの人の影響の結果であり、その影響度合いは、95パワーポイント以上だとか。
ということで、今日から1週間、自分がどんな人と時間を過ごしているかに意識を向けてみましょう。そして、付き合う時間が多いと思う5人をリストアップします。
それから、ひとり一人について、自分が好きか、嫌いか、そして、それはなぜか?を考えてみましょう。
考え方が好きなかのか、行動、具体的にどんな行動が好きなのか?あるいは、嫌いなのか。
これは面白いですよ。
でも、今のあなたが、これから成功するか、失敗するか。周りが決めているんですからね。恐ろしいと思いませんか?
それは後で考えるとして、自分を知る、自分の価値観、行動規範を知るというのが目的でしたね。
自分のことを知るのは、本当に難しいですが、他人に分析は、それに比べたら簡単です。
みなさんは、他人によく、「あの人はこういう人」というラベルを簡単に貼ったり、時には悪口も言うでしょう?このように、他人を観察して、評価するのは難しくありません。
そして、その5人を分析すれば、今の自分がどんな価値観、行動規範をもっているかがわかるはずです。
その後でいいです。自分は、この人たちと、このまま付き合っていくべきかどうか?についてはね。