リモートワーク時代のマネジメントとは?

テレワーク

リモートワークについて、見直しの動きがありますが、これは新しい時代の流れには反しているようです。

リモートワークで、多くの仕事がこなせるし、実際に多くの時間か使って仕事ができてしまっている現実があるからです。

リモートワークに適した仕事、業界はどこか?

経営コンサルティング会社のマッキンゼーが、2020年11月に発表した報告書「Future of remote work(在宅勤務の未来)」によると、ファイナンス、マネジメント、プロフェッショナルサービス、そして、IT部門が最もリモートワーク(在宅勤務)に適しているというものです。

<マッキンゼーのサイト>

https://www.mckinsey.com/featured-insights/future-of-work/whats-next-for-remote-work-an-analysis-of-2000-tasks-800-jobs-and-nine-countries

金融と保険は最も可能性が高く、生産性を損なうことなく、リモートで実行できるアクティビティに4分の3の時間が費やされています。

次に高い可能性を秘めているのは、マネジメント、プロフェッショナル・サービス(弁護士、会計士、科学・技術サービス等)、そして、情報テクノロジーであり、従業員の時間の半分以上が、リモートで効果的に実行できるアクティビティに費やされています。

“Future of remote work” 2020/11/23 McKinsey Global Institute analysis 9か国(中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、スペイン、英国、米国)

現業系の業種ではリモートワークでできる時間の比率は下がりますが、それでも、10パーセントくらいは、リモートワークでも実際に仕事ができている現実をみれば、リモートワークで働くという大きな流れは変えられないと考えるべきでしょう。

管理職の仕事の8割がリモートでできる時代

そして、管理職こそが、その「マネジメント」業務の8割の時間をリモートでこなしている現実に目をむけなければならないのでは?と思います。

そもそも、マネジメント業務が、大半をリモート(在宅)でできるなら、それは管理職にとっても素晴らしいことではないでしょうか?

通勤なしで、好きな場所に住んで、時には、家族と長い旅行しながらでも、仕事が続けられて、収入も確保できるという自由な「新しい働き方」ができるんですから。

さて、管理職として、リモートワークを推進するためのインセンティブが生まれたところで、この制度が職場で定着し、より多くの従業員が参加するように、是非、尽力願いたいと思います。

全社で横並びに、などと言っていると時間もかかりますし、反対勢力との闘いも大変でしょうから、先ず、ご自分のチームで始めてしますのがいいですよね。行動すること。先ず、始めてみることが大切です。

やりながら、フィードバックを集めて、よりより制度として運用し、ノウハウをまとめて、実績とともに、他の部署、会社全体に拡大してもらうという手順が現実的でしょう。

そして、あなたのチームでリモートワークを始める管理職のみなさんには、マネジメントのやり方も新しく変えていただかなければなりません。

そうしないと、リモートワークに参加する従業員は増えませんし、また、リモートワークしている人に負担がかかったりして、生産性があがらないことにもなりかねません。

何より、管理職であるあなたが、従来の古い考え方、マネジメントスタイルに固執していては、ストレスが溜まってしまいますよね。

リモート時代の新しいマネジメント・スタイル

『リモートワークの達人』(ジェイソン・フリード、デイビッド・ハイネマイヤー・ハンソン著、早川書房)によれば、「リモート時代のマネジメント」の章でいくつかの提案をしていますが、私は以下の4つが特に重要だと思います。

  • 席を見張るのはもうやめにしよう
  • 社内の格差をなくそう
  • 無駄な承認や手続きを根絶しよう
  • 怠けよりも働きすぎに注意しよう

一番目、席を見張るのは、管理職にとっては一番楽な方法です。

9時前に出社させ、遅くまで会社に残らせる。こんなやり方は生産性を無視したやり方なので、早くこの習慣はなくしましょう。仕事の進め方について、どうすれば、生産的に進められるかをもう一度よく考えて、プロセス重視から結果(成果)重視のマネジメントへの転換を図りましょう。

二番目、社内格差というのは、リモートワークをする人とオフィスワークをする人の間に格差が生じることです。

特に、リモートワーク派が少数の時には、配慮が欠かせないという。オンライン会議の際に、音声の不調、通信トラブルがあると、双方にいらいらが募り、コミュニケーションが悪くなるので、通信インフラは整え、共通画面共有で、みんなが同じ画面で議論できるようにする。

また、議論は、メール、チャットなどで行い、共有化をはかり、オフィス派だけで、ローカルで勝手に意思決定をしない。なにより、少数者の立場に立って、配慮することが大切だ。

三番目、無駄な承認や手続きで、最たるものは、ハンコ(印鑑)でしょう。

リモートワークになった企業で、週に1、2度出社しなければならない理由が、ハンコを押すためということでニュースになりましたが、承認プロセスで、待ち時間が増えるといのは、無駄ですよね。

管理職が、マネジメントをするための力の源泉は、ハンコを押す(承認する)ことと、人事権であり、なかなか難しいとは思いますが、ここは頭を切り替えて、仕事の成果をチームとして極大化させることが自分の仕事だと、思い切って、権限移譲を進めましょう。

経費の支出、休暇の申請についても、一定のルールを決めて、チームメンバーには、その範囲で自由にやってもらう。

四番目、最後の働きすぎに注意しましょうは、特に気をつけなければなりません。

見ていないところでは、人はさぼるだろうというのが、一般の認識でしょうが、むしろ逆でしょう。

職場と家庭という境界線がなくなることで、人は、仕事中毒になりやすいのです。私も経験からそういえます。

「週末に、まとまった時間で、来週のレポート準備をしておこう」とか、通勤がないので、夕食を家族を取った後、「今から(午後9時)、寝るまでの時間(午前零時くらい)、プロジェクトの資料をまとめてみよう」などと、空いている時間をどんどん仕事に使うようになっていくのです。

どんどん仕事をしてもらったら、管理職、経営者としては、得だし、何の問題があるのかと思われるかもしれませんが、従業員が働きすぎれば、精神的に疲れて、創造性も発揮できなければ、生産性も、品質も落ちるのですから、会社にとっては損失でしょう。

また、働きすぎで、燃え尽き症候群になってしまっては、元も子もありません。

上司、管理職が、働きすぎ良くないということを、言葉だけでなく、わが身の行動で示していただきたいと思います。

管理職の意識変革が必要です

今までのマネジメントスタイルは、残念ながら、労務管理が優先されて、業績(評価)が二の次になっていました。

管理職のマネジメントも、遅刻、欠勤、休暇の管理という労務管理がメインにあり、書類にハンコを押す(品質)承認業務、何か問題が起きた時に、関連各署と調整してトラブルシューティングするというイメージでした。

本来、企業の生産性向上に重要な人材育成は、管理職の重要なミッションですが、個人差があるとは言え、チームメンバーは標準以上の能力があり、管理職としては、そこはあまり真剣に関与していないのではないでしょうか。

しかしながら、新しい時代には、成果(結果)重視になっていきますから、仕事の進捗、出来不出来も含めて、管理職がきちんと把握し、リードしていないと、自分の存在意義が疑われてしまいます。

さて、リモートワークを成功させるには、管理職の力が大きいです。

チームとしての生産性を上げ、働くひとりひとりの満足度が高まるためには、管理者のマネジメント能力が問われるからです。

そのためにも、古いマネジメントから、新しい時代のマネジメントへのマインドシフトが不可欠です。

ぜひ、新しい時代の新しい働き方のために、行動しましょう!